大泉町で見つけたブラジルの食文化
ブラジルはポルトガル人に発見されたのち、ヨーロッパやアジアからの移民によって築かれた多民族国家である。そのため、各国からの郷土料理が持ち込まれ、ブラジルの土地で採れる自然の幸と混ざり合って、ブラジル風にアレンジされた多国籍な食文化が特徴である。
ブラジル料理には地域ごとに特徴があり、その地域による区分をブラジル五大料理区分と呼ぶ。ブラジル五大料理区分は、北部・北東部・中西部・南東部・南部に分けられる。
北部の特徴
✮アマゾンなどを含むこの地域は、インディアンの食文化が残っている。
【代表料理】
タカカ:干しエビとジャンブ―というしびれ草を入れ、キャッサバ芋でとろみをつけたスープ
北東部の特徴
✮北東部の代表的な州であるバイーヤ州はプランテーションによって奴隷として連れてこられたアフリカ系移民の影響を受けている。また、サトウキビやカカオが重要な農産物である。
【代表料理】
ムケッカ:魚介類をデンデ油(アブラヤシの油)とココナッツミルクで煮込んだもの
中西部の特徴
✮おもに乾燥したサバンナや草原、そして北部の森に覆われた地域からなっている。
✮パンタナルと呼ばれている狩りと釣りの名所がある。
✮広大な放牧地から供給される牛肉と豚肉、それに魚がメニューの中心であり、大豆や米、トウモロコシ、キャッサバも常食される。
南東部の特徴
✮エスピリトサント、サンパウロ、ミナスジェライス、リオデジャネイロの各州は南東部と定義される。
✮この地域はブラジルの工業地帯の中心であり、ブラジル料理といわれて思いつく、有名な料理の発祥地である。
✮サンパウロではヨーロッパ系移民が多く、イタリア、ポルトガル、そしてスペインから多く移住している。また日本からの移民も多い。その為サンパウロなどにおいては多国の食文化を楽しむことができる。
南部の特徴
✮広大なパンパが広がるこの地域は、ヨーロッパからの移民が大多数を占めている。
✮また、牧畜業を中心として発展してきたため、カウボーイ文化が定着した。そのため干し肉、燻製肉、ワインなどが有名である。
【代表料理】
シュラスコ:鉄串に牛肉や豚肉、鶏肉を刺し通し、荒塩をふって、炭火でじっくり焼いた肉料理
次に、ブラジルの国民料理について紹介する
ブラジルの国民的料理(1)
フェイジョアーダ
✮フェイジョアーダは黒豆と肉の煮込み料理で、ブラジル国民にもっとも親しまれている料理のひとつである。
✮一般的に知られている説では、奴隷として連れていかれた黒人が考案し、上質な肉以外の残り部分であった足、耳、しっぽなどの部位を煮込み料理に使われたと言われている。ただし、この説には異論もある。どちらにしても、黒豆と様々な部位のお肉の組み合わせはブラジル独自の調理方法であることには間違いなく、ブラジル国民に愛され、食堂から高級レストランまで提供されている。
ブラジルの国民的料理(2)
シュラスコ
✮ブラジルの肉料理で鉄串に大きな肉の塊を刺し、塩をふって炭火で焼いたもの
✮様々な部位の牛肉をはじめ、各種の肉(豚肉、鶏肉、ヤギ肉)を用いる
✮レストランではウェイターが串ごと客席に運び、目の前で食べたい量を切り分けるという提供方法が一般的
✮味付けは州によって違う
次に、私たちが取材した店舗を紹介する。
今回私たちが訪れたのは、Primavera(プリマヴェーラ)大泉店である。プリマヴェーラは気軽に楽しくブラジル料理を食べられるように、本場の雰囲気をそのままに、フレンドリーなスタッフが我々を楽しませる。 プリマヴェーラの店内はとても開放感があり、おしゃれな印象を受けた。ブラジル国旗も掲げられており、少しばかりブラジルの雰囲気を味わえた。 プリマヴェーラはシュラスコが有名なお店だが、ビュッフェのメニューも充実している。今回私たちが訪れて、頂いたお肉の中で特に印象に残った2つのお肉とデザートを紹介する。
1つ目は店長さんの一押しメニューのガーリックステーキである。焼く前のお肉に入念に下味をつけることで、焼き上がったお肉の香りを引き立たせ、食欲を一層引き立たせる。じっくりと焼くことで柔らかくなったシュラスコは、パサドールと呼ばれる人がお客の目の前まで運んで、食べたい量を切り分けてくれる。
2つ目はお店の一番人気のお肉、トップサーロインである。イチボという1頭から2~4㎏ほどしかとれない希少部位のお肉を使用しており、その美味しさはまさに格別である。また、脂っぽさが無いので、焼き肉は大好きだけれども、脂っぽいので直ぐお腹いっぱいになってしまう、という年配の方にもおすすめしたい部位である。
そして、お肉が一巡した後区切りとして提供されるのが、焼きパイナップルである。皮を取り除き砂糖をシナモンにまぶして、回し焼くという、いたってシンプルな調理方法である。馴染みのない人も多いだろうが、焼きパイナップルはお肉の消化を助けるといわれている。焼かれたことによって独特の酸味が抑えられて、甘みが強調されお肉の後の箸休めとしてさっぱり食べられる。
また、シュラスコに合わせるお酒としてカイピリーニャを紹介して頂いた。カイピリーニャはブラジル国民の庶民的なカクテルの最高峰であり、爽やかな甘さがシュラスコによく合う。
最後に、今回私たちは店長にお話を伺った。
―経緯について
元々はサンパウロなどブラジル各地を転々としていたが、ブラジルでは仕事がうまくいかなかった。そこで、両親とともに日本を訪れた。大泉町を選んだ理由は、現地には工場が多くブラジル人を派遣で多く雇っていたからであった。現在はネパール人やミャンマー人が多くなっている。東日本大震災後には一度ブラジルに帰郷した。それから、町がブラジルタウンを形成することになり、店長も大泉町へ戻り、お店を開く決意に至った。なお、従業員は社長自らがブラジルでスカウトをし、切り方などのレクチャーを行った。
―お店のこだわりについて
プリマヴェーラは日本人をターゲットにし、味付けは日本人向けになっている。というのも、ブラジル人向けの味付けは日本人にとってしょっぱいからである。また、価格もブラジル人にとっては少し割高に設定されている。大泉町にシュラスコを扱うお店はほかにもあるが、当店では焼き上がったらお客の目の前で切り分けるようにしている。フォトジェニックな写真を撮れるようにしている。また、匂いを気にすることもあるだろうが、その点に関しては心配する必要はない。つくのは従業員だけである。
編集後記
プリマヴェーラ大泉店は本場さながらのブラジル料理を堪能でき、かつ味付けは日本人向けになっているので、初めてブラジル料理を体験する方でも挑戦しやすいのではないだろうか。店内も本場さながらの雰囲気が味わえるので、是非一度訪れてみてはいかがだろうか。
明治大学で学習している学生達が実際に大泉町を訪れて取材した内容をまとめた報告書です。
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